2024/10/03 12:16
【滞在3日目】
Ardent社のWashing
Stationへ向かいます。
Ardent社は7つのWashing Stationを所有しています。今日はシダマ州にあるシャンタ・ゴルバ・ウォッシングステーションを訪問します。
Washing Stationへ向かう途中に、Hulling Stationに立ち寄りました。ここでは生産処理が完了したNatural Processのコーヒー豆の保管および脱殻を行います。脱殻は生産処理の完了から1カ月以上のレスト期間(休ませる期間)を経てから開始します。こうすることにより味がしっかりと出るためです。
Hulling Stationで脱殻後、Dry millへ運ばれたコーヒー豆は欠点豆や石など異物の除去、比重選別や電子選別の工程を経て格付けされ、輸出されます。Hulling Stationには輸出を控えた沢山のコーヒーが保管されていました。ここでは最大で50トンのコーヒー豆が保管されるそうです。
(Hulling Station)
続いて、Wet mill(果肉除去、発酵、水洗などの工程を行う設備)とDrying Unit(乾燥処理を行う設備)の見学といきたいところですが、2月下旬のこの時期は収穫はもちろん、プロセッシング(果肉除去、発酵、水洗など、コーヒーチェリーの生産処理)も全て完了し、Wet millには豆粒ひとつ残っておらず、アフリカンベッドもきれいに片付けられていました。
(シャンタ・ゴルバ・ウォッシングステーション、すべての工程が終了していたのでとても静か)
なぜ収穫の全盛期に来なかったかというと、収穫期にはまだカッピングをする準備が整っていないためです。今回の目的は買い付けのためのカッピング(テイスティング)なので収穫、プロセッシング完了後のこの時期(2月)の訪問というわけです。
カッピングだけならアディスアベバにあるArdent社のオフィスに行くだけで事足りるのでは?と思われるかもしれません。しかし、どんな人たちが、どのような暮らしの中でコーヒーをつくり生活しているのか、畑のにおい、吹き込む風の感触、土の踏み心地、道中の風景…自分の目で見て、肌で感じたいことが沢山あります。
そして、そこで考えたい、
生産者にとってコーヒーとは?
消費者にとってコーヒーとは?
コーヒーってなんだ!?
などと、悶々としていると、何やら辺りが騒がしくなってきました。
この日は無事に収穫が終わったということで、Ardent社CEOのアシナフィー氏がワーカーさんたちや、各ステーションのマネージャーさんたちを集めて慰労会が開催されていました。
現地の演歌歌手のような方がひたすら歌を熱唱し、それに合わせて皆さんも踊ったり聞き入ったりしています。私たちはその間に昼食をごちそうになり食後のコーヒーまで頂きましたが、(もちろん、ジェベナでとても美味しい)オンステージは終わりそうにありません。しばらくの間、一緒に歌を聴いたり、ダンスを見たり、隣の山にある民家の煙突から立ち上る煙を眺めたり、ゆっくりと流れるエチオピアンタイムを満喫し、もはや時間という概念が無くなり始めたころ、私たちに声がかけられステージ向かいました。
ステージではカッピングの準備がされており、Ardent社が所有する7つのステーションのコーヒーが並んでいます。そして、これらを作った生産者の方たちがステージにいる私たちを見入っています。
今日はこれらのコーヒーをカッピングして生産者の方たちに評価をフィードバックして欲しいというのです。ということで、私たちは7つのサンプルの中から自分が一番美味しいと思うコーヒーを選びカッピングコメントを発表することになりました。生産者の皆さんは立ち上がり私たちのコメントを聞いてくれています。
さて、私が選んだコーヒーはSIDAMA CHIRE WASHEDでした。
カッピングコメントは、チェリー、レモン、ハニー、フローラル、ミルクチョコレート、クリーミー、スーパークリーン、そして、とてもprettyなコーヒーだと評価しました。今回このコーヒーは買い付けませんでしたが、とても思い入れのあるコーヒーとなり来年も注目の銘柄です。
私たちのコメント発表が終わると、Ardent社CEOのアシナフィー氏は集まった生産者に賞賛の言葉を送りはじめます。そして、称えられている生産者の方たちからは「丹精込めて美味しいコーヒーをつくったぞ」という凄まじいプライドを感じます。今まで見た事のない光景が眼前に広がり、感謝、賞賛、プライドで満ち溢れています。ステーションには何とも言えないエネルギーが充満し、爆発しているようにも見えました。私は魂を激しく揺さぶられ涙が止まらなくなりました。 そして、涙を拭いながら思い出しました、一番見たかったコーヒーの光景で、私がコーヒーを仕事にする理由でありモチベーションだと。
慰労会は生産者の方たちに日本からのお土産をお渡しして会はお開きとなりました。
その後、ここシャンタゴルバ・ウォッシングステーションにコーヒーを納めている生産者のお宅におじゃましてコーヒーセレモニーです。焙煎から始まり、なんと焙煎度合いの希望も聞いてくれるというので少し浅めでお願いしました。おやつにバナナとソルガム(モロコシ)を煎ったものまで頂きながら、ゆっくりと時間をかけて美味しいコーヒーを味わいました。
(コーヒーをご馳走になった生産者のご自宅)
素晴らしいコーヒーセレモニーの後はウォッシングステーションに戻り夕食です。
蒸しパンのようなもちもちのパン、ピラフのようなご飯、ケールと牛肉の炒め物、キャベツと人参の炒め物、スクランブルエッグ、テフを茹でたものを頂きました。深く心に染み入るような愛情をたっぷりと感じる優しい味わいでした。
今日は隣接するゲストハウスに泊まります。お湯が出ないので今日はシャワー無しです。
(この日の夕食)
(泊まったゲストハウス)