2024/08/09 16:12
2024年2月に生豆買付のためにエチオピアへ行って参りました。(2/19~2/25)
初めてのアフリカ大陸、初めてのエチオピア出張です。
はじめにエチオピアの概況について説明したいと思います。
【地理情報】
国土:109.7万㎡(日本の3倍)
人口:1億2380万人(日本と凡そ同水準)
【社会情報】
非常に多様な民族からなる国家で83の部族で構成されています。
公用語はアムハラ語を初めとする、主要民族が話す5言語ではあるものの、各地域では部族固有の言語が根強く残っています。
コーヒーは生活に深く根付いており、エチオピアで生産されるコーヒーのうち約 40-45%は国内で消費されています。しかし、コーヒーは最大の外貨獲得産業であるため国内消費に回るコーヒーの品質は高くはないようです。
【政治・経済情報】
厳しい財政状況であり、恒常的に大幅な輸入超過(≒130億USDの輸入超過)を抱える中、慢性的な外貨不足に陥っています。
外貨の調達が重要視される中、政府による厳しい外貨規制が敷かれ、輸出業者は外貨の40%のみを受け取れる*仕組み(残りは全て現地通貨エチオピアブルに換金される)*一時は輸出業者の受け取り外貨は20%のみでした。
■ 国内主要産業
・輸出産業の主力商品はコーヒー
・輸出額に占めるコーヒー産業の割合は約30-35%
【エチオピアのコーヒー】
エチオピアはアラビカ種のコーヒー発祥の地と言われています。(諸説あって、南スーダン国境という説も有力です)
アフリカ大陸で第1位のコーヒー生産国、高品質のアラビカ種のみを栽培し、アラビカ種の生産では世界第3位になります。
小規模農家が生産の中心で、95%超の農家が1Ha以下の農園面積です。主要生産地は同国西部と南部に広がるエリアです。
【栽培方式】
・フォレストコーヒー
多種多様な樹木が育つ原生林の中に、自生しているコーヒーの木より収穫する方式。近年は農村の開拓も進み、減少傾向にあります。
・セミフォレストコーヒー
原生林にて、苗木の移植や、剪定などの管理を行うことでフォレストコーヒーよりも高品質・高収量の栽培を目す方式。ガーデンコーヒーの次によくみられます。
・ガーデンコーヒー
小規模農家が家庭菜園の一貫として自分の家の庭でコーヒーを栽培する方式。エチオピアで最もよくみられる栽培方法です。
【コーヒーセレモニー】
コーヒーセレモニーとは、エチオピアの伝統的な習慣であり、コーヒーを飲むことを儀式化した作法の一つです。日本の茶道と同様に、コーヒーを飲むという行為に精神的な要素や教養などが含まれる文化的な習慣であり、客人に対する感謝ともてなしの精神を表すものです。
乳香をたき、生豆を煎るところからはじめて、お客さまひとりひとりに淹れたてのコーヒーを飲んでもらうものです。
ジェベナという伝統的なポットでお湯を沸かし、その中に砕いた粉を入れて煮出していきます。
煮出された後、数分置き粉がポットの下に沈むのを待ち上澄みをデミタスカップに注いでいきます。そのまま飲んだり、ハーブを入れたり、塩や砂糖を入れて味や香りの変化を楽しみます。私はハーブ入りのコーヒーを飲みましたが、清涼感がありくせになる美味しさでした。
また、エチオピアには80以上もの部族があり部族によってコーヒーの飲み方も様々で、コーヒーにバターをいれて飲む習慣を持つところもるそうです。
客人の前でコーヒーの生豆を煎るところから始め、三番煎じまで飲むことが正式であることから(※三番煎じは客人からの求めがあれば提供する)1時間半から2時間以上かかる場合もあるそうで、ポップコーンなどを食べながらゆっくりと時間を過ごすそうです。
私は、コロと呼ばれる麦を煎ったお菓子とバナナを頂きながら、美味しいコーヒーとともにゆっくりと流れる時間も楽しみました。とても豊かな時間の中でコーヒーのことを考えました。
エチオピアでは至る所でコーヒーセレモニーを目にします。空港、ホテル、レストラン、ゲストハウス、民家など。カフェに入ってもメニューにはジェベナがあり伝統的な作法でコーヒーを淹れてくれます。コーヒーはエチオピアの日常であり、コミュニケーションの一つです。
さて、次回はいよいよエチオピアへ向けて出発です。